織部(おりべ)ほどではないにしても、小生が好きになれなかった
陶磁器に、染付(そめつけ)などと称される磁器があります。
これは、白い地肌に青い線でいろいろな絵や文様が描いてある
磁器で、小生の小さい頃は、茶碗や皿などの食器から、火鉢、花瓶、
はては傘立てに至るまで、このタイプの磁器が家の中に溢れており、
しかも殆んど全てのものが(多分)安物であったこともあって、小生は
陶磁器で一番程度の低い種類が、これら染付磁器であろうと堅く
信じていたのです。
これも、とんでもない思い込みでした。
この手の磁器には、有名な有田、伊万里さらには祥瑞(しょんずい)と
呼ばれる、中国製の超高級品などもあって、確かに良い物をよく見て
みると(ほとんど本で、ですが)、小生の家の安物とは全然違います。
さて、なんやかやで陶磁器についてある程度の知識がついてくると、
茶会に行った時、目の前に出される茶碗を見る目が変わってきます。
ああ、これはきっとあれだな、とか。 こんなのは見たことがないが
何だろう、とか。同じ種類でも、こっちはなかなか良いんだが、あれは
どうも好きになれない...。
などと、いろいろな思い入れを持ちながら抹茶を飲むことができます
ので、今までよりうんと茶会が面白くなります。
それだけではありません。
たまたま陶磁器で有名な地方に旅行に行ったりすると、そこにある
名物の陶器が欲しくなります。 いや特に買わなくても、買おうかな
と思いながら、店や窯元を見て歩くだけで興味は尽きません。
こんなことがありました。
ある時、仕事の帰りに時間が余ったので、コーヒーでも飲もうと..
(こんな書き出しは、どこかにあったような)
ともかく、キョロキョロしながら車を走らせていますと_
「やきもの散歩道」という看板が目に入りました。
やきもの? 多分陶磁器のことであろう。
焼鳥屋の屋台が並んでいるのではあるまい。 (つづく)
コメント
いつも楽しみに読ませて頂いております。
素敵な染め付けの器に感動してメールしました。
文章も面白いし写真も興味深く楽しんでおります。
この写真の茶碗はお袋所有のもので、2番目の写真に
写っている物と同じ茶碗です。
いずれにしても、染付の磁器は、今やお気に入りの
焼物の内のひとつになっています。