キャンディーズ 音楽

キャンディーズ_14(理容師の鳥肌)

 伊藤蘭が41年振りにソロアルバムを出し、続いてソロコンサートを開くわけですから、当然そこで歌われる曲はアルバム「マイブーケ」の曲が中心になるでしょう。しかしアルバムの11曲では曲数が不足で、洋楽のカバーとか、いやひょっとすると、「キャンディーズ」の曲が歌わるのではないかというのが、ファン達の関心の的だったわけです。
 例のごとく微妙なファン心理から、封印されたはずの「キャンディーズ」の曲は歌うべきではない_などと瘦せ我慢の意見もSNS上で結構見られたのですが、結局、コンサート直前のラジオ番組で伊藤蘭自身が、キャンディーズの曲も歌うことを発表し、また、アルバム発売前後のいろいろなメディアでのインタビューで、キャンディーズに関する話題に自然に触れており、つまり、意外とあっけなく封印は解かれてしまったのです。
 さてそうなると、キャンディーズのどの曲を歌うか、何曲ぐらい歌うか、さらには「ランちゃんコール」をやってもよいか、手拍子を入れてもいいか_などなど、いやはや心配は尽きません。

会場入り口(「にゃんこ先生のちまた散策」より)

 コンサート初日のTOKYO DOME CITY HALLには、ファンの大行列(年齢層はさすがに高かったが)はもとより、多くのマスコミや有名人が詰めかけ、またお祝いの花がたくさん並ぶなど、大層華やかな様子であったそうです。
(もちろん、小生はこのコンサートに行ってませんから、以下のコンサートについての内容は、例のごとくYouTubeのいろいろな記事を参考にさせて頂きました)

 いよいよコンサートの開幕です。オープニング曲(「マイブーケ」からの「walking in the cherry」)ではさすがに伊藤蘭も緊張した様子で(というよりも伊藤蘭は結構あがり性なんですよね)1曲歌い終わって御挨拶となったあたりでやっと場内の空気も緩み、気が付けば客席のファンも一緒になって緊張していたのではないかというところが、この伊藤蘭とキャンディーズファンとの長い絆を感じさせるような気がします。
 演奏は8人編成のバンドで、これに女性コーラス2名がついて、ちょうどMMP+キャンディーズと同程度の構成です。
さて、その後は和やかな雰囲気のなか、「マイブーケ」からの曲が6曲ほど続きましたが、観客はというと時々「ランちゃ~ん」という遠慮がちな声が飛ぶものの、全体として静かに(せいぜいペンライトを振るぐらいで)落ち着いて聴いていたようです。
 そして、ついにキャンディーズ曲である「恋がひとつ」と「アンティック・ドール」の2曲が披露されました。どちらもキャンディーズのスタジオアルバムの中の曲で、41年ぶりにファンの前で歌われたわけですが、でもこの2曲は伊藤蘭の作詞・作曲のソロ曲であり、いってみれば昔のランちゃんのソロアルバム(そんなものは無いですが)に入っていた曲_といった雰囲気であり、ファン達も「マイブーケ」からの曲と同じ雰囲気で聴くことが出来たのです。 ...つまり、ファンがやきもきしている「キャンディーズ曲」とは違うのです。

コンサートの様子(「DI:GA ONLINE」より)

 続いて、再び「マイブーケ」の曲に戻った後、2度目の衣装替えで黒のレザージャケットの上下に身を包んだ伊藤蘭がステージに置かれたイスに腰かけ、詩の朗読が始まりました。

 止まっていた時間を再び動かすために必要な三つの鍵_ というような何だか意味深な内容で、観客席に緊張した空気が漂います。
「三つ目の鍵は音符の形をした鍵」「その音符は過去の曲の中にある・・・」

 朗読が終わると同時に強烈なギターサウンドが響き渡る。おぉ、これはあの「春一番」のイントロのメロディーだ!
この瞬間、会場全体が異様な大興奮に包まれ、一気に「キャンディーズ」の世界に入って行ったのです!
夢ではない! あの「ランちゃん」が今ここで、あの「キャンディーズ」のヒット曲を歌っているのです!
それまで遠慮がちに聴いていた全てのキャンディーズファンは椅子から飛び上がり、手を打ち鳴らし、ペンライトを振り回し、「ランちゃんコール」をここぞとばかりに喚き叫ぶ!! 

 ...などと、見てきたようなことを(大袈裟に)書いていますが、でもその瞬間の会場の様子は、いかにも目に浮かびます。小生も、もし当時からのキャンディーズファンで、41年振りにこの瞬間を味わうことができていたなら、どんなに感激したことだろう_ と、思わずにはいられません。

キャンディーズの世界!(「DI:GA ONLINE」より)

 話は変わりますが、小生が行きつけの理容院で、この話を店主(伊藤蘭と同年代)に話していた時のこと、
話がこの「会場全体が一気にキャンディーズの世界に入っていった」あたりのくだりになったとき、店主が「うわー、その話はすごいな。聴いてるだけで感動してしまった。ほら!」と言って、袖をまくって見せてくれたその腕は、すっかり鳥肌が立っていたのです。
 この店主は、その後すぐに「マイブーケ」を購入したとのことでした。(この項つづく)

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コメント

  1. マコ より:

    当時からのファンはたまらなかったでしょうね。
    盛り上げ方が凄い!上手い!
    ファン心理を充分理解しているからこその演出
    私はファンではありませんが床屋さんの反応は頷けます(*^^)v

    • kitapon より:

      真剣に打込んでいた人ほど感激は大きかったわけで、何事でも
      一生懸命は素晴らしいってことですか。

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