茶道の懐_7(顔をそむける茶碗)

 ずっと不潔に思っていた陶器の正体は、織部(おりべ)という種類の
焼物であり、そして例の青緑色の塗料のようなものは、汚れではなく、
芸術的な感性と意思をもって、わざわざあのような色の釉薬(陶器に
着色する薬)を垂れ流しているのだ、ということも解りました。

織部2

 つまり、織部は不潔ではない! ということを理解した小生ですが、
この小さい頃の記憶の刷り込みは、なかなかのことでは消えず、
織部の抹茶茶椀というものがあり、これで抹茶を飲む人を初めて目に
した時は、思わず顔をそむけてしまったものです。

 その後、小生自身が初めて織部で抹茶を飲む羽目に陥った時は、
その様子を見ていた人が皆、「これほどまずそうに抹茶を飲む人は
生まれて初めて見た」と、思ったに相違ありません。

 そうこうする内に、段々と織部についての知識が増えてきました。
戦国時代以降に古田織部という武将の茶人がいて、彼の天才的な
感覚は、各方面において次々と前衛とも言える芸術品を創出し、特に
彼の名を冠した織部という部類の陶器は、世界でも類を見ないような
不思議な非対称の形状と自由な絵付けと例の青緑の汚れでもって
確固たる美の世界を確立している(といわれている)ようなのです。

 但し、実際にはどれほど古田織部が直接に関わっていたかは、
あまり定かではないようですが。

 こうやって、いろいろな知識がついてくると、不思議なもので、
あれほど嫌っていた織部が、何だか結構な芸術品に見えてきます。

 小さな事柄ながらも、これが文化を知る、触れる、ということでしょう。 
今まで大して知りもしないで、なんとなく避けてきたものが、よく見たら
結構良いものであった...  つまり、知らないままであったなら
勿体無かった日本文化のひとかけらがここにあったわけです。

茶碗3

 そして、こうなると、今度は別の種類の焼物についても知りたくなって
くるのは、当然の成り行きと言えます。 (つづく)

  日本ブログ村、茶の湯・茶道  ← 人気ランキングに参加しています(クリックして頂くと、ランクが上がります)

Comments are closed.