(写真は本文とは関係ありません)
茶会では、客側で一人リーダー(正客)を決めておき、この人が、皆を代表して
お茶を出す側のリーダー(亭主)に挨拶したり質問したりする約束になっているようで、
このリーダー同士が、あうんの呼吸で質問したり、それに答えたりする様子が、
これこそ茶会の醍醐味であるという人もいたりして、なかなかに半人前の茶人では
正客は務まらぬとされているようです。
ところが、大寄せでは直前まで、この正客が決まっておらず、席(お茶を飲む部屋)に
入って座る時に、一番上座に座った人が正客だと看做されますので、誰が座るかで
当然、譲り合いが始まります。
「お正客お願いできますか?」「あら、私などとんでもない、どうぞどうぞ、あなたこそ」
「では、あちらの方に一緒に頼んでみましょうか」「そういたしましょうか」
そんなことをしている間にも1人36秒の持ち時間はどんどん過ぎてゆきますので、
他の客も、主催者側もじりじりしながら、そんな様子を見守ることになります。
これが有名な「正客の譲り合い(正客バトル)」で、これがあるから大寄せには
行かない、という人がいるくらい、悪名の高いもの(らしい)です。
(写真は本文とは関係ありません)
さらに、この譲り合いのメンバーの中に、本当は自分が正客をぜひやりたいのだが、
人から強く推薦されぬ内に引き受けたのでは、自分がやりたいと思っているようで
(思っているのですが)みっともない、などと考えて、とりあえず他の人を推薦する...
というようなややこしい輩も混じっているため、話が一層わかりにくくなります。
客の中に男がいると、まず第一候補として声がかかるようで、小生にも時々正客の
依頼があります。 そんなとき、面倒だからいっそ引き受けてやろうかと思ったりも
しますが、残念ながら小生では、正客がどこで何をするものやらさっぱりわからず、
腹黒い推薦者はともかく、他のまじめな同席者に迷惑ですから、さすがに辞退します。
なにしろ小生の場合は、客を代表して質問するどころか、自分のお茶の飲み方を
質問したいくらいなのですから。
さて、中くらいの規模の大寄せでのことです。
とても気になるヴェテラン2人組がいました。 (つづく)