(写真は本文とは関係ありません)
このヴェテラン2人は、主催者と知り合いらしく、先ほどから派手な動きをしています。
まずは、主催者側の誰それを見つけては、辺り憚らぬ大声で話しかけるかと思えば、
大して用も無さそうなのに、忙しく部屋を出たり入ったりしています。
そういえば小学校のころ、何か人が集まるような場所に行くと、妙に目立ちたがる
やつがいたなあ(自分だったりして)、などと思いながら、その2人を見ていましたが、
どうも、運悪く一緒の席になってしまったようです。
同じ席に、対照的に静かに控えておられる、年配の女性が小生の目を惹きました。
その女性は、地味な風貌にも関わらず、えもいえぬ雰囲気を醸し出しており、
かなりのお茶人と見受けられます。
確か、かの佐喜知庵の魔王も、こんな雰囲気だったような_と、懐かしく思い出して
いるうちに、 件の正客の取り決めの段になりました。
案の定、目立ちヴェテランコンビが誰彼となく声をかけ始めます。
「あなたお正客やっていただけません?」「あら、そう。ではあなたいかが?」
小生のところへも来ました。 「そちらの男性の方、いかがですか」
「いや小生は...」 殆んど返事を聞かぬうちに、もう他へ行っています。
そして、ついに例の本物茶人のところへ行き、さすがに格の違いを感じてか
今度は少し本気で申し入れているようです。
最初は固辞した本物茶人も、しばらくして、「では」と静かに引き受けました。
こちらで見ていても見事なタイミングで、 う~む、斯くあるべしと感じ入ります。
(写真は本文とは関係ありません)
ところが...、
目立ちコンビはお互い顔を見合わせ、何となく不満そうで、その様子からみると
やはり2人とも腹黒だったに違いありません。
さて、このまま茶会が済めば、まあまあ普通の大寄せです。
でも、小生がみたところ、なんだか2人組は額を寄せて何やらよからぬ相談を
しているようにも見えました。
どうも無事に終わりそうもないような雰囲気が無きにしもあらず...。
まさか、逆恨みして帰りに意趣を返すなどということもないでしょうが。(つづく)