寧日庵で棚を見かけるのは、確か初めてのはずです。
これは吉野棚ですよね。 実は我が家には最初のころ、棚といえばこの
吉野棚しか無くて、何かあるといつもこれが出てきたものですから、小生
には大変馴染み深い棚なのです。
もしかすると、そのあたりの事情を承知の上で、飾ってくれたのかも
しれません。
この棗は和紙でも貼ってあるのかな?(またまた訊く機会を逃しました)
つやのない黄瀬戸らしき水差しと相まって、大変落ち着いた風情です。
そして、これらと、スベスベつやつやの吉野棚との取り合わせは、何とも
言えぬ不思議な雰囲気を醸し出しています。
な~んて、すっかり分かった風の物言いですが、まあ分かっても分から
なくても、感想を述べるだけなら自由ですからね。
で、水差しの前に茶入れが飾ってあるのを今回は見逃しませんでした。
はいはい、濃茶が出てくるのでしょう、大丈夫、前回は初めて茶会に出て、
初めて濃茶なるものを目にした友人のMさんでさえ、特に問題なく飲んだ
のですから。
それにしても、第一回目の寧日庵茶会では、(小生も含めて)皆で
「薄茶」を恐る恐る飲んでいたような気がしますが、今回は(少なくとも
精神的には)余裕で「濃茶」を飲んでいるのですから、大したものじゃ
ないですか。何か3回目にして、やっと茶会が楽しめているような気が
します。
もちろん、小生の手順や振る舞いには相変わらず変な所がいっぱいあり
ました。 おっとまた「あれ」を忘れた_ というような失敗ばかりです。
でも考え方を変えれば、我々のような素人が茶会に出れば、まともに
振る舞えないのは当たり前ですから、つまり我々の場合、茶碗を落として
割ってしまった、というぐらいの事をして初めて失敗というべきであり、
細かい手順違いなどを、「失敗した」などと言っているのは、大層生意気
なのかもしれません。
そして、そういう視点でみれば、本日は全然失敗もなく、どの出席者も
何となく肩の力が抜けて、茶会を楽しんでいるように見えるのです。
続いて薄茶ですが、前回と同じようにここで席を変わります。
前回はテラスに野点て風の席が設えてあって、大層感激しましたが、さて
今回はどんな趣向かな……。 (この項つづく)