以前お話ししたことのある、伝想庵へ行こうとした時のことです。
近くに城らしき物が見えます。 ちょっと寄ってみよう、 と車を止め、
すぐ下まで歩いて行くと、「櫓開放」と書いた立て札がありました。
櫓とは、この城のようなものらしく、どうやら中を見物できそうです。
小生、特に城を見るのが趣味とかいうわけではありませんが、
なんとなく不思議な雰囲気を感じて、ともかく狭い階段のような小路を上ります。
さて、息を切らせてやっと登りきった先に小生が見たものは、
確かに城(本当は櫓)ですが、なんだかとても小さいのです。
それに、誰もいなくて、入口の戸も閉まっています。
まあ、想定内でもありましたので、大してがっかりもせず、
その辺の土塀にある銃眼から、下の景色を見たりするぐらいで満足して、
帰ろうかなと思いましたが... いやひょっとすると、 と思い直して
入口の戸を引いてみると、これが簡単に開きます。
でも、ただそれだけです。
どう見ても人が見物するようにはできていません。 つまり、パンフレットが
置いてあるとか、注意書きがあるとか、案内のおばさんがいるとか、そういう
気配がまるでありません。 というより、よく見たら照明設備すらなく、
おまけに、ほとんどの窓が閉めてあります。
つまり、戸口のところ以外は真っ暗です。
普通はここで帰ります。 おまけに小生は小さい頃からどうも臆病なところがあり、
暗い所が苦手で...。
でも、好奇心も人一倍強いのです。 (つづく)