(愛猫家諸氏には失礼ながら) 小生は、大の猫嫌いです。
小さい時、姉が一所懸命世話をして可愛がっていた兎が、
無残にも殺されてしまったとか、どこに隙間があったのか、
いつの間にか家の中に入ってきた猫に、お袋が飼っていた
大切な文鳥が一度に二羽も犠牲になるなど、許せぬ所業に
煮え湯を飲まされ続けてきたのです。
そして決定的なのは、小生が高校生ぐらいの頃_
当時の小生の部屋は、我が家の庭に建てられたプレハブ
ハウスであり、よく工事現場などでみかけるタイプの、
板を組み合わせただけのような構造の建物でしたが、当然、
屋根にも天井などは無く、ただ一枚の板が置いてあるだけ
ですので、雨が降るだけでものすごい音がしたものです。
この屋根の上に近所の猫が毎晩5~6匹集まって、大暴れ
するようになったのです。
互いに大声をあげて取っ組み合いの喧嘩をするのですが、
これがあきもせず毎晩毎晩繰り返されます。
まあいってみれば毎晩小生の頭の上で暴走族の集会がある
ようなもので、とても寝ていられません。
やむを得ぬので、外に出て行って、そこらあたりにある物を
手当たり次第に投げつけて、やっと静かになったところで
ベッドにもぐりこむと、すぐにまた集会が始まるのです。
この頃は大げさでなく、本当に寝不足に悩まされました。
当然、猫は皆憎く思えました。
道などで猫に出会おうものなら走っていって蹴飛ばそうと
したり(その前に逃げられますが)、石を拾って投げたり
したものです。
そんなですから、猫の方でも小生が近付くと一瞬で居なく
なります。たまにうっかり小生のそばに来てしまった猫も、
小生が少し体を動かしただけでたちまち逃げ去るのです。
小生と猫とは、このような関係を保ったまま、何十年も
過ぎてきました。
*****
ところが、どうも最近様子が変なのです。
小生が近付いても、知らぬ顔をしている猫が多くなったのです。
しゃくなので石を投げる振りをしたりすると、面倒そうに
離れていったりします。
それどころか、ふと気が付くと体を摺り寄せてくる猫も
いたりして、怒るよりあっけに取られることもあるのです。
(「窮猫懐に入れば小生も蹴らず」 か ...)
つい先日などは、小生の近くに来るやいなや、ゴロンと腹を上に
して寝そべった猫が、前足で手招きするのを見て、さすがに小生も
噴き出さずにはいられませんでした。
これは一体どういうことなのでしょう。
最近の猫が図太くなったのでしょうか、それとも
歳のせいで小生の体から殺気が消えたのでしょうか。
そしてある日...
夜中にふと気が付くと、見知らぬ猫が小生の横で気持ち良さげに
寝ていた_ なんてことになったらどうしよう、 などと、
不気味な心配をしている今日この頃なのです。(この項おわり)
コメント
いやいや殺気を消すまでの境地に至ったのでは?
もはや名人と言うべきか。
四十年程前 「くたばれ野良猫」 とゆう名曲がありました。
また何処かで流れたらいいのに(^o^)
何方かご存じないかしら?
猫の近くへ行って、「ム...」と殺気を出そうとしても、
敵は知らぬ顔をしています。
これ、とても名人とは言えません。
ところで「くたばれ野良猫」でなくて「くたばれどら猫」です。
(ちょっと楽屋落ちの話で、知らぬ人にはごめんなさい)