ドアがあいて、勢いよく教室に入って来た英語の教師は、まだ若い
男性で、当時の先生はほとんどスーツ(背広と言ってましたが)姿が
定番であったのに、なんだかとても洒落たジャケット(ブレザー)を
着こなしています。
(写真は本文とは関係ありません)
そしてこの教師が、ニコニコしながら生徒たちを見渡すのを見て、
これはどうやら悪い先生ではなさそうだぞ_と感じた小生たちは、
みな一様にホッとしたものです。
さて、この先生は黒板にまず自分の名前を書いて自己紹介を
始めたのですが、それを聞いて小生たちはとてもびっくりしました。
だって、この先生は「関西弁」を使って話すのですから。
今の時代はテレビなどで毎日のように関西弁が飛び交って
いますから、別に珍しくもないですが、少なくとも小生は関西弁
というものを「なま」で聞いたのは、この時が初めてでした。
しかも、先生らしからぬ冗談がポンポン飛び出すといった按配
で、この先生が何か話すたびに、それだけで生徒たちは面白く
て、教室中がドッと沸いたのです。
(写真は本文とは関係ありません)
もしこの時、知らぬ人が教室を覗いたならば、きっと関西の
芸人が学校にやってきて、漫談でも聞かせていると勘違い
したに違いありません。
その内に、この先生が一人の生徒を指名して、何でもよい
から動物の名前を言ってみなさい、と言いました。
生徒が恐る恐る、「とら」と言うと、先生はそれを英語にして
黒板に 「TIGER」 と書いたあと、ついでにその(虎の)絵を
描いて見せたのですが、これがなんとも愉快な(マンガ風な)
絵で、みんな思わず噴き出してしまったのです。
(写真は本文とは関係ありません)
同じようにして、次の生徒が言った動物も英語とともに、2匹目
の動物として描かれました。
生徒達はもうすっかり夢中になってしまって、我先にいろんな
動物の名前を次から次へと叫んでいるうちに、気がついたら、
終業時間はすっかり過ぎていた_ といった具合で...
我々の生まれて初めての英語の授業は、こうして興奮の渦の
中で、アッと言う間に終わったのでした。 (この項つづく)