茶道 異端の茶会

異端の茶会_22(茶席「野戦病院」)

   異端茶会1

 必死に働いている者に対して「勿体ぶって隠れている」はなかろう_と、
悪友に対して、小生(台所で)一人で毒づいていたのですが、「出てこい」と
言われて黙っていては、まるで叱られて隠れている子供のようです。 
 う~、やむなく(予定を変更し)台所をほっておいて少しだけ顔を出すことに
しました。

 客が一斉に小生の方を見ます。
なんだか_ みんな澄ました様子で、
うん、なかなかどうして、こちらの意図通りの雰囲気が出ているようです。

 小生を呼び出したB家主人は、あまり食事には手を着けず、もっぱら酒を
飲んでいます。  そんなに食事がまずかったのか... いや実は彼は、
数年前に胃を全部摘出してしまったため、ほとんどまともな食事ができない
のです。

 異端茶会2

 ついでに言えば_
C家主人は、精密検査の結果がよくなくて、つい最近肺を片方取っています。
さらにA家主人は、赴任先の外国で倒れて現地で手術を受け、現在も心臓に
何やらという金属を入れたままです。
(こうやって書くとまるで野戦病院の話をしているような...)

 どうも小生ぐらいの歳になると、まともな体を保っている者はめったにいない
ようで、友人達と集まって酒を飲んだりすると、すぐに話題はそちら側へ行って
しまいます。
「俺はこんなに大変な病気をもっているのだ」「いやいやそんなのは大した物
じゃあない、俺などはもっともっと大変で...」などと、気がつけばお互いに
自分の病気を競って自慢している始末なのです。

 おっと、つい話がそれてしまいました。
せっかくの茶席を野戦病院に見立てては、舞台も台無しです。

  異端茶会3

 さて、呼び出された小生は、茶会について少々蘊蓄(うんちく)をたれつつ、
 「こう見えても結構忙しいんだよ」などと自分の存在をしっかりアピールして、
ついでにちょうどよいので写真を何枚か撮ったあと水屋に戻り、次の菓子の
用意に取り掛かります。

 このあたりも大変な時間で_
菓子をカミさんに渡したあとで、1階に降りて行って中立ち(途中の休憩)の
用意をするのですが、(席へ顔を出していて)予定が狂ったため、先の食事の
後片づけをしている時間が無くなってしまいました。
 台所の横を客が通りますので、このままではいかにもみっともないように
思われます。 ええい、ともかく上に布など被せて外から見えぬようにして
おいて、まずは客より先に小生が1階に降りなければ...。 (つづく)

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コメント

  1. 茶犬 より:

    楽しく拝見させていただいております。
    もうすぐ私も初めて亭主を務めてお茶事をすることになりました。お茶事は先生のお宅で道具も貸していただけますが、私らしい分相応のお茶事にしたいと思うのですが、いろいろと迷いがあり、道具もなく、仕方なく見立て使いするしかなく、知識もなく、これでいいのか・・・ますます迷い・・・。そんなときに、貴ホームページにたどり着きました。
    私にとっては今をときめく「なでしこジャパン」を見ているのと同じくらい、貴ホームページに勇気づけられました。私が目指すべき立派なお茶人とお見受けしました。勝手に弟子1号を名乗りたいくらいです。私もいつか、貴殿のように自分らしい茶室でお茶事をと思います。

  2. kitapon より:

    茶犬さん、コメントをありがとうございました。

    >「なでしこジャパン」を見ているのと同じくらい...
    >私が目指すべき立派なお茶人とお見受け...

    うへえ~、もちろん悪い心地はしませんが、いくらなんでも
    ほめすぎでしょう。
    ともあれ、私の言わんとすることにある程度のご理解を頂けて
    いるようで、そういう意味ではとても嬉しく思います。

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