仕事の帰りに、海沿いの道路を走ることがあります。
このあたりに何か、と思いながらふと道の反対側を見上げると、
小高い山の上に結構有名な老舗のホテルが見えました。
「ちょっと行ってみろ。」と、さすらいの本能が命じます。
頂上にあるホテルに向けて車を走らせて行くと、近づくにつれ、
その威容に圧倒されるような雰囲気です。
まるで森のような木々の間から、昭和初期の和洋折衷の華麗な
城郭風の建物が顔を覗かせ、用無き者は去れ、と睨みを利かせています。
途中の山腹で、どうやらこのホテルの施設の一部と思われる、
とても雰囲気のある茶室を見つけました。
呈茶1000円と書いてあります。 た、たかい!
建物は睨むは、呈茶料は高いは、では縁がありません。
「やっぱりやめておこう」と、車をUターンさせましたが、
「そうそう、下々の者が近づくところではないのだ。」と言われているような
気がして(自分で勝手に思っているのですが)、
なに、1000円ぐらい払えないと思っているのか、と小生むきになって
車を再び戻します。
ロビーに入ると早速ボーイ(執事か)が、音もなく近寄ってきて、
「(お泊りとは見えませんが)何か御用でしょうか。」
「ああ君、吾輩は呈茶を所望じゃ。」というつもりが、実際には
「あのー、ちょっとお茶など飲みたいなどと...」 「ハァ?」
「その、そこに呈茶と書いてあったものですから。いや、駄目なら無理にとは..」
「あぁ、なるほど、暫くお待ちください。」 (つづく)
コメント
エ~どうなるの?
続きが楽しみです。
もしかして、ここは蒲郡?
蒲郡プリンスホテルでのお話です。このホテルは経営難から
近年プリンスホテルに買収されましたが、もとは昭和初期に
大蔵省のバックアップのもと営業開始した「蒲郡ホテル」でした。