後座の客側のメンバーは、亭主側の依頼で3人ずつ2組に分かれること
になり、最初に席入りするのは、小生とMさんを含む3人となりました。
まず例の如く、頭を当てぬように気を付けながら躙口から茶室に入り、
右足で畳の縁を越して、床や釜を拝見して_
どうです、もう大分慣れました。 これならどこの茶会に行っても恥ずか
しくはないんじゃぁないか、 などと調子にのっている時が危ないような...
実は、ここで小生は全く程度の低い行動をしてしまっていたのです。
でも、そうとは知らず、機嫌良く正客の席に着いた小生は、隣のMさんに
「あとは菓子を食べて抹茶を飲んだらお仕舞いだからね」などと、暢気に
説明していたのですが、菓子が運ばれて来るのを見ると、 おや~
何だか少し変な様子です。
小生の前に運ばれてきたのは、銘々皿や鉢に盛られた菓子ではなくて、
本格的な縁高(菓子を入れる小振りの重箱)だったのです。
この後、これを順々に一段ずつ取って、さらにその中から菓子を取り出さ
なければなりません。小生は何とか自分の分の処理をしたものの、隣の
Mさんはこんな物をどう扱ったらいいか、もちろん解るはずもないので、
「そう、そこを両手で持って少しずらして...」などと、慌てて手順を解説
したのですが、これは想定外で驚きました。
ま、いいんですけどね。 知らなくても全然叱られない茶会ですから。
それにしても_ 昨年より大分本格的だぞ。
(本文とは関係ありません)
やれやれ、やっと菓子を頂きました。
栗を使ったとてもおいしい菓子で、これはどこの御製で? なんて、いつ
訊いたらいいのかな などと、のんきに考えていて...
いや、ちょっと待てよ。 縁高で菓子が出て来るということは_
ここに至って小生はやっと大変なことが進行している事に気がついたの
でした。
よく見てみると、あろうことか亭主は濃茶を練っているではないか!?
(後から写真を見て気付いたのですが)席入り直後の拝見の時、すでに
風炉の横に「茶入れ」(濃茶用の茶を入れておく容器)が飾ってあるのに、
小生は全然気付かなかったのです。つまり、拝見の形ばかりを気にして、
肝心の道具をほとんど見ていなかった_ という、どう考えても情けない
振舞いをしていたということになります。
結局、小生は以前から最も軽蔑し忌み嫌っていた行動を自分自身で
実行していたのです。
最近の自分が多少は客の振舞いを覚えたからといって、単に形だけを
真似て、中身のない行動をしていたとは_ 全く情けない限りで...。
いやいや、そういう理屈は後回しにして、今はともかくこの場を何とか
乗り切らなくっちゃ。
(「濃茶」は通常の薄茶と違って、濃く練った茶を連客で回し飲みする)
はたして、このメンバーで濃茶を飲むなどということが可能であろうか?
(この項つづく)