野点て風の薄茶席で、初秋の温かな光の中、周りの景色を楽しみながら
薄茶を味わうという至福の時を過ごしたあと、名残惜しくも茶会は終了した
のです。
その後リビングに戻り、去年しっかり見損なった道具などを無理に頼んで
見せてもらったりして、しばらく談笑したのち、寧日庵を後にしました。
それにしても、寧日庵の皆さんは、よくぞここまでの茶会を開催できた
ものです。 一月に一度程度の顔合わせでは、稽古どころか茶会の準備
だけで終わってしまいそうなところを、濃茶席まで用意し、いろいろと工夫
を凝らして理想の茶会に近づけようとする心意気に、敬意を表さずには
いられません。
特に薄茶席の設えには、少しでも客に楽しんでもらおうという、もてなし
の気持ちが溢れており、これこそ茶会の真髄ではないか_ などと、
(小生は)思うのです。
相変わらずの虎の巻を適当に読み、余裕たっぷりのつもりで出かけて
来た小生を省みると、正直なところ、完全に一本(いや、二本も三本も)
取られたと言った気持ちです。
一応は、昨年よりは大分ましに振舞うつもりでやってきた小生でしたが、
いやはや散々な正客振りでした。どうも、やればやるほど難しくなっていく
ような気がします。
ま、そんなものなのでしょう。 異端の茶会で、1回や2回正客を経験した
からといって、少しはヴェテラン?になったつもりでいたりしたら、手痛い
しっぺ返しが待っているということです。
それに、そろそろ「異端の茶会」などと言っては失礼かもしれませんね。
小生としてはいろいろな思い入れを込めて、称賛する意味で「異端」と呼ん
でいるのですが...
さて、こんな素晴らしい茶会は毎年開いてほしい_ と思わずにはいられ
ませんが、残念なことに「寧日庵茶会」はもともと、1回または2回だけ開催
するという予定になっていたのです。
考えてみると、今回が最後だからこそ、こんなに立派な茶会を用意して
くれたのかもしれません。
でも、少なくとも現実に寧日庵が存在するのですから、たとえ来年は無理
としても、何年か先には、きっとまた楽しい茶会に招待してもらえるであろう
ことを信じて... その時を、楽しみに待つことにします。 (この項おわり)