小生が中学や高校の先生を思い出す時、何故か英語の教師の顔が
浮かんでくることが多いのは、当時そもそも英語の教師をしようという
発想自体が珍しく、何かしら他の人と違った考えを持った教師が多くて、
それが小生に強い印象を残しているせいかもしれません。
これが当時の英語の教科書の御存知「Jack and Betty」です。
(大分古いので、歳がわかってしまいますが...)
小生に限らず当時のほとんどの中学一年生は、英語などというもの
を教わった経験は一切ないのが普通でしたから、この表紙を見た
時は、どちらかというと期待よりも不安を掻き立てられたものです。
だって、Jack と Betty は2人ともいかにも颯爽としていますし、
着ている物も当時の日本の中学生(もちろん古めかしい制服です)
とは大違いで、おまけに Jack はネクタイまで絞めています。
もし、こんな2人がすぐそばに来て「Hello!」とか言った日には、
当時の内気な日本人の子供達は、みんな逃げ出してしまったに
違いありません。
そして表紙を開けると、今まで(めったに)見たことも無いような
アルファベットが並んでいるのですから、ほとんどの生徒はすでに
充分にアメリカ(イギリス?)の雰囲気に圧倒されてしまい、こんな
難しそうな授業は自分にはとても無理ではないか_ と、すっかり
敗戦国の子供を自認してしまいます。
そういう意味では最近の教科書はよくできています。下の写真は
最新の中一の教科書ですが、アメリカの子供もアジアの子供も、
まるですぐ隣にいる友達のように描かれているので、変な抵抗感
はなくてすみそうです。
(もっとも少々行き過ぎで、これではまるで絵本ですが...)
おまけに、今は英語が巷に溢れていますし、小学校でも英語を
ある程度教えたりしていますから、当時の我々の英語に対する
恐怖?感は、今ではとても想像できぬように思います。
というわけで、中学で初めての英語の授業が始まろうとした時、
生徒たちは皆、一体どんな授業が始まるのだろう、果たしてどんな
先生がやって来るのだろう_ と、不安な気持ち一杯で、教室の
入り口を固唾をのんで見守っていたのです。 (この項つづく)