閑話諸口

怪談_弐

仕事場1

 以前お話したように、小生の仕事場は自宅の1階にあるのですが、
この1階と2階はもともと全然別の目的で建てたものですので、全く
別の空間になっており、仕事が終わって自宅へ帰る時は施錠をして
から外階段を上って帰宅するという形式になっています。

 小生は夜遅くまで仕事をすることが多く、ほとんど12時過ぎまで
一人で仕事場にいる(その代わり朝は遅い)のですが、深夜になり
辺りがしんと静まってくると、何の雑念も無くなって大層仕事が
はかどるようになるのが常なのです。

 でも、そんなときにふと周りを見渡すと、誰もいない仕事場が
妙によそよそしくて、部屋の隅の暗いあたりに、何か人の気配が
するような、そんなような落ち着かぬ気分になることが、どういう
加減か_ 年に何度かあったりします。

仕事場2
 
 で、その日は夕方から雨がしとしとと降っており、どうも何となく
「イヤ~な」予感がするような日でした。

 たまたまこの日は受験勉強中の息子が、静かな環境を求めて、
小生のすぐ近くの机で参考書やらノートやらを広げていたのですが、
それすらも、心強く感じられるような雰囲気だったのです。

 さて、仕事に没頭していてふと気が付くと、いつの間にかすっかり
時間が経っており、息子ももう帰ってしまったようで、小生一人だけに
なっています。

 さあ、こうなるといけません。
例のごとく、妙に部屋の片隅や隣の部屋が気になったり、自分の
後ろで今にも何かが動き出すような気がしたりで、これでは仕事
どころではなさそうです。

仕事場3

 それでも急ぎの仕事があったので我慢して続けていたのですが、
とにもかくにも一区切りついた所で、早々に切り上げて帰宅する
ことにしました。

 最低限の後片付けをし、携帯やら鍵束やら必要なものを確認し、
玄関口から外に出る前に部屋の照明を全部消すのですが、この
瞬間が一番いけないのです。

 真っ暗な中に一瞬白いものが...
などと勝手に自分で想像をたくましくして怖がっています。

 さて、この玄関口に出る手前にトイレがあるのですが、この時
まあ、我慢できぬでもないがと思いつつも、結局、用を足して
から帰ることにして、トイレのドアを開けたところ_

 中から黒い人影が、ぬっと小生の目の前に現れたのです!!!

仕事場4

 あぁ~~~~ ~~  ~~

 自分の意志とは関係なく自分の悲鳴が口から発せられて止まらぬ
という体験を、小生はこの時はじめてしました。

*******

.

 この話はこれで終わりです。

えっ、それからどうしたか_ ですか?

もちろん、くどくどと言ってやりました。
「脅かすんじゃないよ!」「もうとっくに帰ったと思っていたじゃないか!」
「だいいち何時間トイレに入ってるんだ!」「△□○※!」

           (怪談 おわり)

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コメント

  1. 茶犬 より:

    いつも、楽しいお話をありがとうございます。大人になったのに・・・と思いつつ、私もお化けが怖い派の人間です。大人になるにつれ、お化け怖い派が少人数になっていく気がしますが、やっぱり大人になっても怖いと思う人はいるんだなと安心しました。
    まったく、話は変わりますが、行ってみて、良いなと思った茶会をご紹介しますね。
    ①東京「神楽坂」志満金:毎月第一土曜日(予約不要)10-15時、参加費は“心ばかり”ということです(1000円くらい?)。料理屋さんの地下にある茶室で、この料理屋さんのご主人がお茶をなさっているそうです。
    ②一二三会:ネットで検索すると、色々な案内があります。私は高層マンションの夜会に参加したことがあるのですが、まさにお茶を知らない人が誰でも参加できる、すごい試みだなあと思いました。

  2. kitapon より:

     私の場合は、「怖い」の感覚は子供のころからほとんど
    変わっていない(つまり大変怖がりな)ようです。

     ところで、貴重な情報をありがとうございました。
    どちらもネットで確認しましたが、機会があったら
    (東京へはなかなか行けませんが)行ってみたいと思います。

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