「K(先生)は先ほど急用ができたため、急いで帰りました。」
お運び先生のこの言葉は、小生が全く予想もしないものでした。
その話ぶりから察するに、どうやら親戚に不幸があったような
雰囲気です。
こういうことって、本当に有り得るのか?(あるのです)
もちろん、親戚の不幸であればやむを得ません。
(正式な茶会ならともかく、単なる呈茶の場なのですから)
しかし、やっと本日ここにこうして来ることができたのではないか。
今日がK先生の担当日であると、しっかり確認してから来たでは
ないか。
う~、 これはもう、そういう運命なのだろうか。
そろそろ、K先生に会うのはあきらめるろ_ というのだろうか。
言葉もなく呆然としている小生を見て、お運び先生が遠慮勝ちに
おっしゃいました。
「失礼ですが、K先生とはどのような御関係で」
「いやあの、特に何も関係はないのですが、以前一度ここでお目に
かかって以来、ぜひもう一度お会いしたいと思っている者です...」
しどろもどろのこの説明では、我ながら説得力がありません。
すると、お運び先生がこう付け加えられたのです。
「実は、来週の祝日の担当の先生が都合で来れなくなり、代わりに
その日はK(先生)が担当することになっております。」
えっ!本当ですか!
...ところで、
こうやってこの佐喜知庵の話を書きながら、小生はなんとなく心配
になってくるのです。
あまりにも無理な筋立てで、読んでいる人は皆「こんなバカな話
はあるまい。下手な作り話をしているものだ」などと思うのではない
だろうか。
明日出かけようとしたら、娘が病気になったり葬式があったり。
年が明けたばかりで、まだ大丈夫と思って顔を出してみたら、
一日前に済んでいたり。
しっかり確認して出かけたら、急用でK先生がいなかったり。
で、その代わりに急に予定が変わって、ゴールデンウイーク中に
もう1日、K先生の担当日が作られていたり_。
でも、これは皆本当の話で、下手な作り話ではないのです。
よし、こうなったらもう、とことんまで行くしかない!
こうして、ゴールデンウイーク中の次のXデーに、小生はもう一度
佐喜知庵に行く決心を固めました。
もし、今度も何らかの理由でK先生に会えなかったならば_
いいだろう。 その次の機会に、また出かけるだけのことだ。
(この項つづく)