茶道 魔王ふたたび

魔王ふたたび_8(開き直るストーカー)

 相手はさすがに魔王です。 ひらりひらりと小生の攻撃をかわして
いるようにみえます。 それにしても、自分のやっていることをよ~く
振り返ってみると_  これは、まるでストーカーではないか。

  佐喜知庵16

 よし、何とでも言うがよい(誰も何も言ってませんが)、もうすっかり
開き直った小生は、何が何でもK先生に会わずにはすまさないぞと、
ゴールデンウイーク中のXデーに、またまた佐喜知庵まで、やって
来たのです。

 先回の教訓を生かして、今日はとにかく客の一番少なそうな時間
をねらい、しかも入口の見える場所に待ちかまえて、客が一番少なく
なった一瞬をとらえて入ることにしました。(これすなわち、ストーカー
の心得なり)

 そろそろ入ろうかな_ とした時に、向こうから3人連れがやって
来るのが見えました。 おっと、これは先にやりすごした方がよさ
そうです。 どうもこの3人連れは時間がかかりそうな気がする。

  佐喜知庵18

 さて、なかなか出てこない3人連れにしびれをきらして、玄関に
入ってみると、履き物の数からみて、どうもまだ他の客もいるよう
です。 これはいけない。もう少し待たなければ_と、また玄関の
前に出て、周りを見渡していると、隣の事務所(例の予定表を
もらった所)から、事務の人が不審そうにこちらを見ています。
 なるほど、いかにも胡散臭いストーカーがうろうろしていては、
向こうも監視の目を緩められぬといったところに違いない。

 客が一組出てきたので、今度こそ中へ入りました。
廊下を通って例の部屋へ入ると、予想通り、先の3人連れがいる
だけです。 よしよし、後はこの3人が帰って、その間に別の客が
来なければ理想的なのだが...。

  佐喜知庵17

 少し安心した小生は、部屋の設えなぞを確認する余裕が、出て
きました。 
 おや、先日と何か変ったような_  なるほど、月が変ったので、
本日は風炉になっているようです。
 先日の菓子はあまりうまくなかったが、今日はどうかな_
なんだ、また同じ菓子ぢゃあないか。

 ぶつぶつ言いながら菓子を食べつつ、小生はこの3人連れに
強烈な念力を送り続けます。  「は~や~く~か~え~れ~」

    佐喜知庵20

 念力の効果があったか、3人連れがやっと席を立ちました。
新しい客も入って来ません。 つまり、小生1人になりそうです。
よし、いいぞ。 まさに絶妙のタイミングだ!

 お茶を運んできた、お運び先生が、小生の顔を覚えていて、
「今日はK先生がいらっしゃいますよ」と、教えてくれました。
すべて順調です。 こうなれば、もう焦る必要はありません。

 心を鎮めて抹茶を飲みほしている小生の横に、奥から出てきた
誰かが、そっと座る気配がしました。 (この項つづく)

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