茶の湯余聞_2(偽の素人)

 茶道というものは、人間を赤裸々にして見せる魔力のようなものが
あるような気がします。
 例えば、茶会とかの茶道に関連した場所に出ると、不思議なことに、
その人の本性が簡単に見えてしまうようです。

 茶会11

 これは、言ってみれば、その場所には禁断の木の実が一杯あって
心卑しい人はそれをもぎ取らずにはおられないので、周りの人は
びっくりして、すぐにその人の本性を見知ってしまう...
というようなことではないかな_ と小生は考えています。 

 それでも、当の本人は自分の行動を恥じるのであれば、それによって
人間を磨くといったこともあろうかと思いますが、たいていの場合、
その本人はそれが恥ずべき行為であるとは少しも気づかず、かえって
自分が禁断の実を取ったことを自慢したいと思っているかに見えます。

 それでなくては、大寄せなどに見られる、一部の茶人たちの、あの
常軌を逸した行動は説明がつきません。

 さて、通常の生活では、一般に慎み深い人達は自分の知識や経験を
見せびらかすような行動は決してしないようです。
 実は詳しく知っていても、「へえー、そうなんですか」などと白を
切ったりするかもしれません。

 例えば、絵の展覧会に行ったとします。 
自分がとてもよく知っている画家の絵なので、同行の無知な友人に
いろいろ教えてやりたくてしょうがなくて、ついつい聞かれもしない
説明を滔々としてしまった_
 こういう場合、普通は「はしたない」と言います。
まあ聞かれれば説明したとしても、自分の方がよく知っているという
ようなことはできるだけ隠すのが、少なくとも日本では礼儀にかなって
おり、望ましい上等な行動とされます。

 そんなことは無い、という意見もありそうですが、要は同行の友人が
どう感じるかが重要でしょう。 自分が気分がよいか、友人が気分が
よいかを考えれば、答えはおのずから出てくると思います。

 茶会12

 さて、小生のよく知っている茶人は、たまたま茶道の心得の全くない
人と一緒に抹茶を飲む機会があった時に、自分もその人と同じように、
素人の振りをして、何気なく「下手に」お茶を飲んでいたのです。

 その場にいて一部始終を目撃していた小生は「なるほど」と感服した
のですが(もちろん、時と場合によるとは思いますが)、このように
振る舞う茶人が一体どのくらいいるのだろうか。

 以来、小生はこの真似をして、少なくとも呈茶の場などでは、わざと
下手な振りをして飲んだりするようになったのですが_
どうも何か勘違いがあるような...

 そう、小生はもともと本物の「素人」なので、「振り」をしなくても下手に
しか飲めないのでした。     (この項おわり)

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