季節がら_ のつもりがもう秋ですが、怪談を一席。
但し、茶道には何の関連もないお話です。
何年も前になりますが(どうも小生の話は古くていけない)、
車を運転して仕事で客先へ出かけ、その帰り道でのこと_
仕事があまり順調に処理できなかったため、帰途についた時は
もうすでに夜の11時を過ぎていました。
帰り道は山を一つ越さねばならぬため、山道に車を走らせて
いましたが、このあたり対向車も全くなく、道幅はまずまずある
のですが、街灯らしきものは殆どないため、ほぼ真っ暗な中に
小生の車のライトのみが浮き出ているといった按配です。
しばらくすると、前方に峠部分にあるトンネルの入り口が見え
てきました。 よく見ると、トンネルの少し手前に街灯があって、
その部分だけ明るくなっており、公衆電話ボックスがあります。
そうだ家に連絡を入れておかなくちゃ_と思い付き、通り過ぎ
そうになった体勢から無理やり車の向きを変え、その公衆電話の
周りにあるスペースに車を止めたのでした。
この頃はまだ携帯電話の通話料も結構高額で、ケチな小生は
もし可能なら公衆電話で掛けたいと思っていたので、ちょうど
よい具合です。
さて、車を止めたあと、何となく周りの様子を窺ったのですが、
何だか1本の街灯だけで照らされたこの駐車スペースは、特に
駐車用のラインが引いてあるわけでもなく、一応舗装はされて
いますが、あちこちに草が突き出しており、どうもあまり利用する
人がいないような様子です。
ま、ともあれ車を降りることにして運転席のドアを開けたところ、
小生が車から足を出して降ろそうとした、まさにその位置に_
まるで、 「さ・あ・ ど・う・ぞ」というように...
1足の真新しい靴が置かれていたのです。
全身に冷水を浴びたような_ とは、この時の小生の様子を表す
のでしょう。 すぐに車のドアを閉め、後ろも見ずにその場から
走り去ったのは、言うまでもありません。
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この話は、これでおしまいです...
あまり怖くありませんでしたか?
実は、
もうひとつ_ とっておきの怖い話があるのです。 (つづく)