茶道 異端の茶会

異端の茶会_8(結構です)

 さて、調子に乗ったカミさんが茶道仲間に自宅での茶室ごっこの話を
つい、もらしてしまったことが、話を予想もしない方向へ持って行くことに
なってしまったのです。

茶花1

 すなわち_   この話を漏れ聞いた、カミさんの茶道の師匠が、
「茶室ができたのなら、披露の茶会を開きなさい」とおっしゃるのを聞き、
カミさんは事の重大さにやっと気付いて青くなりました。

 そうではないのです、茶室というのはほんの冗談で...と、懸命に
言い訳しても、なかなか師匠には理解してもらえません。

 ついに小生も放っておけなくなり、師匠に直訴しました。

 普通の和室に、形だけの炉を切って自分たちだけで楽しんでいます。
しかし、炉以外に特別に茶室の体裁を整えているわけではなく、その
一室以外は、人に入っていただけるようなスペースすらありません。
 また、茶碗から茶杓に至るまで最低限の稽古用のものしか所有して
おらず、人にお見せできるような道具は何も無いのです。
 この機会に、ある程度の道具を揃えるという選択は、我が家の現在の
経済状態から考えて、とても無理とお考えください。

 .....。

 いや、それでは、一部のよく事情のわかっている方々のみを呼んで、
茶会などではなく、引越し披露ということで、手料理でおもてなしする
というのはどうでしょう。 このあたりが、ぎりぎりの現実的な選択では
ないかと思いますが。
 
 .....。   これでも、師匠の意見は変わりません。

 とうとう、師匠を我が家にお招きし、実際に現状を見て頂くことに
しました。 つまりそうすれば、さすがに師匠も、「これでは...」と、
あきらめてくれるに相違ないと考えたわけです。

道具2 

 さて、師匠をお迎えし、もはや開き直った感の小生は、
どうです、こんなに狭いのです。 こんなに何もないのです _ と、
かえって自慢げに、我が家の「茶室」と「道具」を披露しました。

 ここで、師匠は少しも表情を変えず、こうおっしゃいました。
「結構です。 これなら充分に茶会が開けます」 (つづく)

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