普段の茶道の稽古において、人をもてなすための稽古というものが、
どの程度行われているのだろう_というお話の続きです。
もちろん、小生は茶道の稽古の経験はありませんので、周りにいる
茶道経験者に聞いてみたわけです。
「さあ_ そんな稽古は特にした覚えはありません」とか
「そういうことは、茶会で経験(稽古)します」
というような回答が多かったような気がします。
実際の茶道の稽古では、膨大な種類の点前の順序や振る舞いを
教え、教わり、それを覚えるあるいは思い出すことに精一杯であり、
そこでは具体的なもてなしの修業をしている時間などとても無いかの
ようです。
でも、もう少し詳しく訊いてみると、
「本日はようこそ...」とか、「もう一服いかが...」とかの、相手を
思いやる言葉を口にしたり、お辞儀の仕方とか、心を込めてお茶を
点てるなどという稽古が、きっとそれにあたるのであろう_と
思えます。
それに_
「いやいや、素人には解らぬだろうが、袱紗のさばき方一つ、水の
差し方一つをとっても、立派なもてなしの稽古なのだよ」 といわれる
かもしれません。 そして、きっとそういうようなことなのでしょう。
しかし、現実にはどの程度の門人がそのことを理解して稽古して
いるのだろう。
本当は、もっともっと大事な学ぶべき事柄がすぐそばにあることに
気付かず、技術や表面的な知識だけを身に着けて、心はさっぱり_
などという茶人がどんどん排出され、そしてその結果として、いろんな
場所で、素人あるいは部外者の眉をひそめさせる輩が後を絶たない、
というようなことはないだろうか。
これは、勉強の意味や意義など全然わからぬまま、受験勉強に
追いまくられ、さて一体自分は何のために学問を身につけたのか、
はたしてこの学問を何に使えばよいのか_ に対する回答を全く
持ち合わせていないように見える、現代の(真面目な)学生達に、
とても良く似ているような気がします。 (つづく)