「行こうか..」 狭い座敷に、二人で座っていてもしょうがないので
帰ることにしました。 玄関まで来ても、もちろん誰も出てきません。
最後に靴を履いて外に出る時、ひときわ大きな笑い声が聞こえたのが
印象的でした。
これが茶道か。 これが茶道というものか。
これほど後味の悪い思いをしたのも、久しぶりです。
憤懣やるかたない小生を横目に見ながら、
「あんな人たちばかりではないのですけどねえ...」と
カミさんが自信なさげにつぶやきます。
そう言われて、ますます小生の怒りのボルテージは上がるばかり。
あの様子から察すると、彼らは何年も茶道とやらをやっているに違いない。
すると、何年もかけて、どうやったら人を不快な気分にさせうるかを
伝授されたり、研究したりしているということになる。
「その理論には、ちょっと無理が...」
少なくとも、何年もかけて、人を不快にさせる道の達人にめでたくも
なってしまったのは、厳然たる事実だ。
これが茶道か。 これが茶道の正体か。
「でも、前回はとても気分が良かったのでしょう?」
うっ、それはそうだが、あれは...。 うん まあ、あれも確かに茶道だ。
隣にある事務所で、佐喜知庵についての資料を入手した結果、
いろいろなことが解りました。 (つづく)