閑話諸口

ヒチコック「鳥」_1

 (今回は、久しぶりに茶道とは無関係の話です)

 小生の若いころ、アルフレッド・ヒチコック監督の「鳥(とり)」という
映画が大評判になり、小生も見に行ったのですが、それはそれは怖い映画
でした。その影響が今も残っていて、たくさん集まっている鳥を見ると、
どうも嬉しくありません。

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   (映画「鳥」より)

 今時は、ヒチコックをご存知ない方もおられるかもしれませんが、当時
サスペンス映画の巨匠といわれた大監督で、まあ現代で言えば、さしずめ
ルーカスかスピルバーグかといったところでしょうか。

 まず、「鳥」という映画のあらすじを述べますと_
ある港町で、カモメが人を襲うという事件が発生します。町の人達は最初
この話を信じなくて、「鳥は決して人間を襲わないものです」などという
鳥類の専門家も登場してワイワイ言っているうちに、あちこちで似たよう
な事件が起こり、そのうちに、下校途中の子供たちが鳥の大群に襲われる
などの恐ろしい状況が街中に広がります。

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   (映画「鳥」より)

 ある夜、主人公たちの家が鳥の大群に囲まれ、ついには窓や屋根を突き
破って、部屋の中にまで侵入してくる大小無数の鳥と人間たちの攻防が、
この映画のハイライトで、その戦いの間中、音楽もセリフも一切なくて、
ただただ鳥たちのすさまじい鳴声だけが何分間もの間響き渡る_ という
趣向で、観客はその間ずっと体を固くして画面に見入っているか、耳を
ふさいで顔を伏せているかのどちらかになってしまうのです。

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     (映画「鳥」より)

 次の日の早朝、何故か鳥の攻撃は中断しており、人間たちがそっと家を
出て、車に乗って脱出する様子を、家の周りを取り囲んだカラスなどの
群れが、じっと見ている_ という不気味な場面で映画は終わります。

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   (映画「鳥」より)

 この映画では、特にカモメとカラスが主役級を争っており、その鋭い
クチバシで人間を襲う様子は、思い出すだけで恐怖がよみがえります。
それ故、それ以来(カモメの群れは街中では見ませんが)カラスの群れて
いるのを見ると、どうにも不気味な感じがします。

 まあ、こんな風に、映画を見た人間をいつまでもその影響下に置いて
おくということこそ、この映画が名画であった証拠かもしれませんが。
 但し、鳥が人を襲わぬというのは間違いで、実際に小生は、目の前で
カラスが人を襲ったのを見たことがありますし、それどころか小生自身
もカラスに追いかけられたことがありますので、特に恐怖が増幅されて
いるのかもしれません。    (この項つづく)

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コメント

  1. 近藤裕彦 より:

    僕もこの映画はとても強く印象に残っているけど誰と観に行ったのかまるで覚えていません。
    ヒッチコックが通行人として確かチラッと・・・
    今、我が家の周りにはカラスがいっぱいいます。
    数年前は、高い送電線にざっと500羽ほどがズ~ッと並んでとまっている光景を見たことがあり、その時はさすがにゾ~ッとした思いでした。
    ふんじゃあ!続きを楽しみに・・・またね(^^ゞ

  2. kitapon より:

    >ヒッチコックが通行人として確かチラッと
    そうそう、5~6匹の白い犬を連れて...
    やはり、小生と同じくらいの年代の人なら、この映画のことを
    覚えている人も多いようですね。

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