乗客がドアを自分で開閉するJR八高線をみて、小生の自宅付近を
走る私鉄にもそんな機能があったことを思い出した_という話の続きです。
但し、小生が子どもの頃のことで、最近の話ではありません。
(「ICHIBAN瀬戸電」より)
小生の住む名古屋の近くに陶磁器の「せともの」で有名な瀬戸が
あるのですが、この瀬戸まで名古屋市内から1時間ぐらいかけて行く
通称「瀬戸電」と呼ばれる私鉄の路線があります。
そして、この瀬戸電には、沿線に知人が住んでいたりした関係で、
小生は小さいころからよく乗ったものでした。
で、この瀬戸電のドアも乗客が自分で開閉するのですが_
「半自動」どころか、これは「全手動!」だったのです。
つまり、ドアの開閉はすべて乗客の意志と行動に任せられており、
自分で(自分の力で)ドアを開けなければ乗ることも降りることもできず、
自分かあるいは親切な他の乗客が閉めなければ、いつまでもドアが
開いたままになっている_ という何ともおおらかなシステムでした。
たまに、慣れてない客が乗ろうとしてドアが開くのを待っているうちに、
列車が発車してしまい、大いにうろたえている様子を中の乗客たちが
みんなで見ている、 というようなこともよくありました。
また、列車が走りだす直前に、一応車掌さんが(一人で)全ドアを確認
して、もし開いているドアがあれば、閉めていた(ような気がする)のですが、
それでもどうかすると、走行中にドアが開いてしまって、外の景色が
よく見える_ なんてことも一度ならずあったものです。
(「瀬戸蔵ミュージアム」城東電軌より)
上の写真が、その問題の全手動ドアです。
矢印の部分にある小さな「カギ」を、左に回転させると「カチャッ」と
閉まり、右に回転させると開く...と書くと、あたかもドアが開くように
聞こえるかもしれませんが、正確に言うと、右に回転させてカギを開いた
あとで、ドアの取っ手を力一杯右方向に引っ張ると_ ドアが開くのです。
こんな構造ですから、ヴェテランの客などは、ドアをタイミングよく閉めて、
その衝撃でカギが自動的に降りてカチャリと閉まり、それを見ていた、
(新米の)中学生たちが、「お~、出来る!」と羨望の目を向ける_とか、
たまに建てつけの悪いドアがあったりすると、ドアを少し押しながら回転
させないとうまくカギがかからぬ_ などと、まるで我が家の物置の話を
しているような、うそのような本当の話なのです。
それにしても、昔はこんなでも大した事故が起こらず、みんな何も文句を
言わずに当たり前のように利用していたのですから、今から考えると大層
不思議な気がします。 ( ...戦後の話です。 念のため)
え~、だいぶ話がそれてしまいましたが、 長旅の話に戻ります。
このJR八高線からもう1つ別のJR線に乗り換え、しばらくしてやっと
最後の駅に降り立ちました。
さて、あとは送迎のバスを待つだけになったのですが _
ここでさらに1時間近く待たされたのです。 (この項つづく)