1977年7月17日。(この日付はキャンディーズファンなら一人残らず知っている_らしい)
その夏のツアーコンサートである「サマー・ジャック77」の初日の日比谷野外音楽堂のステージ終盤でのこと、3人が急に抱き合って泣き始め、ランちゃんが「わたしたち、今度の9月で解散します!」と言い放ったのです。
少なくとも、その場でそんな宣言が行われるということは、MMPをはじめ関係者の誰も全く知らされておらず(と言われている)、ましてやファンは「解散」ということ自体が寝耳に水であり、一体何が起こったのかと、ただただ右往左往するだけであった。そして、この混乱の中で続いてランちゃんが(例のよく通る声で)泣き叫ぶように言った「普通の女の子に戻りたい!」の一言は、強烈なインパクトを持って瞬く間に世間に広がり、良くも悪くもこの後何年もの間、キャンディーズのメンバーについて回ることになったのです。
次の動画はその解散宣言の様子です。この動画は7分42秒もありますので(重要な宣言部分は 2分30秒、3分00秒、5分20秒 あたりの位置)、まぁ大して興味が無ければ無理にご覧になることもないでしょう。
≪「解散宣言」dailymotion MarieDubois2 より≫
何故、解散するのか。何故、このような発表の方法を選んだのか。普通の女の子とは何を意味するのか。
翌日開かれた緊急の記者会見において、キャンディーズの3人は詰めかけた各社の記者から、かなりきつい質問を浴びせられ、その後の各メディアの論調も、言ってみれば「世間をしらぬ現代っ子の気まぐれ」といった調子のものが多かったようである。また3人の説明も、周りをあまり納得させることはできず、これらの謎は(今日に至るまで)今一つすっきりとしないまま残っていると言えそうです。
一般的に説明されている、事の真相は以下のようなものである。
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・元々3人はレコードデビューより3年で解散しようと考えていたが、人気も出てお礼の意味もあり、もう1年活動を続けることにした。
・彼女たちのスケジュールは、年間コンサート数、TVなどへの出演回数、レコーディングする楽曲数など、常識的にみて限界を超えているようでもあり、3人は精神的にも体力的にも追い詰められていた。
・契約の切れる(デビュー4年になる)1977年9月で辞める意思を渡辺プロ側に伝え、何度も交渉の場を持った。
・最終的に、解散の希望は認められたが、その時期については半年程度の延長を提案する渡辺プロ側と9月を譲らぬキャンディーズとで合意に至らぬまま7月を迎えた。
・ついに3人が強行突破を図った。
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また、彼女たちとしては、あくまでも「解散」であり、いずれソロ歌手や女優などとしての復帰を考えているようであったが(但し、2度と芸能界には戻らぬと答えているインタビュー記事もある)、渡辺プロ側は「(芸能界からの)引退」と捉えていたと思われる。
次の動画は記者会見の日の夜に放映された「夜のヒットスタジオ(生放送)」の様子です。最初に記者会見の映像の一部が流され、その後でキャンディーズがヒット中の「暑中お見舞い申し上げます」を(健気にも)にこやかに歌っています。
≪「夜のヒットスタジオ」YouTube tatunori nakasima より≫
小生の感想としては、年端も行かぬ3人の女の子(あまり後ろに強力な助っ人の影が見えぬのも不思議ですが)が、絶対的ともいえる権力をもった大人たちと渡り合うというのですから、いかにも勝負は見えており、それ故に「掟破り」ともいえる強硬手段に訴えたということであろうと同情的にはなりますが、それにしても交渉の場においてキャンディーズの3人が何故に「9月」という期限を一歩も引かなかったか、またあのような衝撃的な発表以外に方法はなかったのかということについては、(諸説ありますが)やはり...大いなる謎です。
結局、その後の話し合いでキャンディーズは契約を延長し、1978年4月4日に行われることになった最終コンサートまで活動することに同意します。但し、身勝手な振る舞いをした(とされた)彼女たちに世間の風は冷たく、メディアからは叩かれる、同業者からは白い目で見られる_ といった中での活動を強いられることになったようです。
そして、そんな(孤立無援でさぞ心細かったであろう)彼女たちを擁護すべく、「キャンディーズ自身が解散を望むなら」と、フアン達が立ち上がります。
次の一文は、ラジオ番組の中で、全キャン連の有志が読み上げたキャンディーズ応援宣言の一部です。
「...我々、全国キャンディーズ連盟は、ここに宣言します。キャンディーズの解散を支持し、さらに解散に伴う一切の誹謗中傷を排し、キャンディーズへの支援協力を、...全国に呼び掛け続けるものであります」
こうして、解散宣言以降1978年4月4日までの約9か月の間、キャンディーズの活動は、全て「解散」を前提としたものになっていったのです。
(この項つづく)
コメント
こんな事があったなんて知りませんでした。
ここまで追い詰めた大人達がダメです!
才能ある彼女達をもっと大事にして欲しかったです。
しかしファンは偉かったですね。
そうですね。ここまで追い詰めたのが、一番の問題かもしれませんね。
まぁ、大人たちの立場になれば、言いたいことは一杯あるとは思いますが...。
しかしファンは偉かったですね。