キャンディーズ 音楽

キャンディーズ_8(大活躍_そして)

 キャンディーズは、この《中期》に10枚程度のシングル曲を発表しているが、ヒット曲連発とはいっても、オリコンで10位以内に入ったのは半分の5曲程度であり、少し遅れてデビューした「ピンクレディー」が連続9曲1位などという爆発的なヒットを飛ばしたのに比べるといかにも見劣りする。
 但し、キャンディーズはいわゆる「記録」よりも「記憶」に残る存在で、各方面に大きな影響を残しており、その後にあたえた影響力という点では、大層大きな存在だったといえる。

 また、キャンディーズはこの《中期》に、スタジオアルバムは5枚程度発表しているが、その内容は気鋭の作家陣による意欲的な作品や、洋楽のカバー、メンバーの自作曲などに積極的に取り組んでいる。また、当時最高のスタジオミュージシャンを使ってしっかりした楽曲を作り続けており、今聴いても色あせぬ作品を数多く残している。

 次の曲はアルバム「CANDIES 1676 DAYS」の中の一曲(録音は1976年初め)で、「昭和歌謡」とでも言えそうな作品である。ラン・スー・3人、の順で1番を、ミキ・スー・3人、の順で2番を歌っており、こぶしを効かせて歌うランとミキの歌いっぷりと、スーの良く伸びる高音の後に見事なコーラスで締めるという小気味よい出来映えで、キャンディーズのレパートリーの広さをみせる、小生お気に入りの一曲です。

≪「銀河空港」YouTube つん鶴麟 より≫

 TVの出演では、「レッツゴーヤング (NHK)」、「みごろ!たべごろ!笑いごろ!!(NET)」、「8時だョ!全員集合(TBS)」などの毎週公開生放送があるようなTV番組にもレギュラーとして積極的に出演していた。特に、「みごろ!...」や「8時だョ!...」などは単なるゲスト歌手としてではなく、コントをこなすレギュラーメンバーとして出演していたので、毎週の本番およびリハーサルに大変なエネルギーを注いていたようである。

「みごろ!たべごろ!笑いごろ!!(NET)」のラン助、スー吉、ミキ子

 さて、この時期のキャンディーズの雰囲気を知るために、中期におけるシングル曲をもう1曲御紹介しておきます。次の動画は8枚目のシングル曲の「ハートのエースが出てこない」で、TVの人気歌番組「夜のヒットスタジオ」に1975年の12月に出演した時のものです。この曲は、ソロ、ユニゾン、2声、3声コーラスと全て登場する構成であり、(7枚目の「その気にさせないで」とともに)当時日本でも人気のあったアメリカの女性ボーカルグループ「スリー・ディグリーズ」を意識したと思われる路線で、大ヒットとはならなかった(オリコン11位)ものの、コンサートでは根強い人気があった。

≪「ハートのエースがでてこない」YouTube YOSHIの青春歌謡曲 より≫

 さらにキャンディーズは、(ライブ)コンサートに大いに力を入れていた。マネージャーの大里洋吉はオリジナル曲だけではなく洋楽のカバー曲を多く取り入れ、キャンディーズを本物のアーティスト、一流のライブグループへと変貌させようと、先進的なライブパフォーマンスに執着したので、ややもするとファンがついていけないほどの革新的な舞台になることもあった。
 キャンディーズ全盛期のライブを支えたバックバンドはMMP(ミュージック・メイツ・プレイヤーズ)という、ホーンセクションをフィーチャーしたブラスロックバンドであった。大里マネージャーは、それまでのフルバンド(ビッグバンド)をバックにした歌謡曲的なステージをやめ、意欲的な若手ロックバンドを専属バックバンドとしたいと考えて、1975年夏ごろから次第にMMPを起用するようになった。
 このバンドのリーダーはグループサウンズの「ワイルドワンズ」にいた渡辺茂樹であり、後の「スペクトラム」のメンバーも数多く在籍していた。但し、その不敵な態度や黒ずくめの衣装にサングラスといういで立ちもあって、最初の頃はキャンディーズファンの不評を買ったが、次第にその迫力ある演奏と音楽的な質の高さが受け入れられ、やがて専属バンドとして無くてはならぬ存在になった。
 また、ライブに於いて、MMPのオリジナル曲「SUPER CANDIES」で客席をさんざん煽った後、「ハートのエースが出てこない」でキャンディーズが登場するメドレーは名物のひとつとなった。MMPの迫力ある演奏によって、邦楽(歌謡曲)を聞くことのなかったロックファンがキャンディーズを聞くようになったとさえいわれている。

「日劇ウエスタンカーニバル」 YouTube rsmnorizo より

 ところで、次の動画は同じく「ハートのエースが出てこない」(於・砂防会館)ですが、バックはMMPです。先程の「夜のヒットスタジオ」版では、バックはフルバンドで、両方の違いが(良し悪しはともかく)はっきりわかると思います。

≪「ハートのエースがでてこない」YouTube dominickex より≫

 こうして_  TVにラジオにコンサートにと、大活躍のキャンディーズであったが、
1977年の夏に、ファンも関係者のほとんどもアッと驚くあの「事件」を起こすのです。

(この項つづく)

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コメント

  1. マコ より:

    同じ曲でもバックによるんですね。ノリが全く違う!

    ソロで歌える子達の素晴らしいコーラス!

    ドラマチックな展開を当時のファンに読ませたい(笑)

    • kitapon より:

      ソロで歌えるとやっぱりコーラスも_ ですよね。
      全然声質が違っても、JohnとPaulのように。

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