先日、久しぶりに外の席をお借りして稽古茶会をしました。今年の春は寒い日や雨も多く、天気の心配をいたしましたが、
花曇に時々薄日がさすという風情のあるお天気でした。 ( 2006年4月19日 )


 前日に下見をかねて掃除をし、当日は道具を運び、席を整えた後、  
 午前中は、午後からの本番のリハーサルを兼ねた小間での稽古をしました。
 つくばいを使い、にじり口から席入りし、床と点前座を拝見し
 亭主側と客側に分かれ薄茶の稽古です。
  普段の稽古場の本勝手と違い、2畳半向こう切りでの点前ですので、
 薄茶といえども正に勝手がちがってあれこれ研究しながらのリハーサルでした。
  でも、そこは稽古茶会の気楽さで、それも「また楽し」です。

 予定通りに午前の稽古を終え、お昼はお料理屋さんから届いた春の松華堂弁当で
のんびりお庭を眺めながらの楽しいひと時でした。
普通の茶会ならスタッフとしては贅沢なお弁当を、しかものんびりいただけるなんて
事はなかなかありません。
 今回の茶会は、あくまで普段の稽古を外の席でやってみよう-- というものなので、
こういう感じでした。
 でも、午後からのお客様には心を込めておもてなしをするために、食事のあと、
お互いに着物の着付けをチェックしあい、気持ちを切り替え、心の準備をしました。
                                                    



  お稽古茶会とはいえ、来てくださるお客様にはそそうのないよう細心の心配りをします。
 お客様をお招きし、おもてなしをし、満足してお帰りいただく。
  これこそが、普段の稽古の集大成です。




 相手の気持ちをおもんばかり、どうするのが 最善か想像をし、
且つ、その細心の心配りを押し付けがましくないよう、さりげなく。
 難しいですが、まさに亭主の醍醐味といえます。

 お招きしたお客様に、本当に満足してお帰りいただける茶事...
もし そんな茶事ができたら、お茶をつづけてきた冥利につきるという
ものだと思います。



 今回の稽古茶会で、私にとって大変な驚きがありました。
発足してまだ5年目と日の浅いうちの社中は、稽古茶会はこれで2度目です。
初釜を数に入れたとしても、経験はほんの少しです。
 それにもかかわらず −−−とにかく皆様 「おできになる」のです。
お若いうちに上級のお免状まで おとりになっている方も何人かいらっしゃいますが、
その方たちといえども、お若いうちのお手伝いはそれほど重いお役ではなかったと思うのですが・・・


  当日の、準備をかねたほんの少しの打合せだけで、
 それはもうすいすいと 事が運ぶのです。
  受付、待合、水屋、亭主、  どの役をなさっても、
 社中の皆さんは、手際がよく、何のそそうもなく、ほぼ完璧に...。

  私は、半東として席中でお客様のお相手をしているだけで、
 全てが滞りなく進んでいきました。


 皆さんの共通点は家庭の主婦という事でしょうか。
主婦として、家族のため、親戚のため、お客様のために日ごろ鍛えた気配り、心配りが
見事にお茶のおもてなしの心として発揮されたという事ではないかと思います。

 ほんとうに、お茶の心というのは特別なことではないのだという事がよくわかりました。
特別な事ではなく、人が人を思いやる気持ちこそが、お茶の心そのものなのでしょう。

    茶会をするたびに、いろいろな発見があります。
   今回の茶会も大変ゆったりした楽しいものでした。
    次は、どこでどのような茶会をさせていただきましょう・・
   たのしみは、尽きません。
   
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